伊勢若松

鈴鹿市の伊勢湾岸には南から白子、千代崎、若松と、伊勢湾を漁場とする近海漁業の港町があります。

 

伊勢若松駅は近鉄名古屋線から鈴鹿線の乗換駅で、急行停車駅ですが、実は駅前に商店街があるわけでもなく、地元利用の地味な駅です。

 

でも、駅の改札口に銅像が立っており、その名前は「大黒屋光太夫」。

 

18世紀末に乗っていた船が遭難し、遠くアリューシャン列島まで流され、その後、当時のロシア帝国のエカチェリーナ2世に拝謁、9年半の年月を経て帰国した歴史上の人物です。帰国後は幕府に重用され、江戸に屋敷を構えて蘭学者と交流し、自分が見てきたロシアの状況を教えたようです。

 

写真1

この事実をもとに作られたのが井上靖の「おろしあ国酔夢譚」です。

 

出生地の若松には大黒屋光太夫記念館があり(写真1)、小さな建物ですが光太夫の資料がたくさん陳列されています。

 

伊勢若松駅から海の方向に徒歩15分くらいでしょうか。

 

 

 

 

写真2

記念館から5分ほど東へ歩くともう海になります。

 

近くに漁港がありますが、これは若松ではなく千代崎漁港。漁港の南には金沢川の河口があり、その南は千代崎海水浴場です。

 

漁港から海水浴場一帯は野良猫が多くいて、猫好きにはたまらないところでもあります(写真2)。

 

 

 

写真3

若松には酒蔵もあります。

 

清水清三郎商店(写真3)は伊勢若松駅から海に向かい徒歩数分、こちらは若松港の近くになります。

 

酒蔵の名前は知らなくても、「作(ざく)」という日本酒の名前はご存じの方も多いでしょう。

 

伊勢志摩サミットの乾杯で用いられた三重県産日本酒の一つで、フルーティーなお酒です。

 

「作」ブランドには多くの種類、冷酒向きとか常温向きとかぬる燗向きとかあるのですが、実は地元でもなかなか入手できません。その代わりに一般酒の「鈴鹿川」はどこでも買えますし、すっきりとして美味しいお酒です。

 

写真4

千代崎から若松を一望できる場所があります。それが岸岡山緑地(写真4)。千代崎駅から白子方面へ徒歩15分くらい。

 

海岸近くの丘陵ですが、晴れた日には対岸にある中部空港の離着陸を見ることもできます。

 

千代崎から伊勢若松の間は散歩コースにお勧めです。

 

 

文・写真/ふるさと通信員・テツじゃ